相続税の申告期限、そして、納税の期限が10ヶ月目に到来します。
この時までに、遺産分割協議はもちろん、納税資金の調達も完了していることがベストです。
遺産分割協議が完了(※)していなければ適用できない相続税法上の特例もあります。注意が必要です。特にこういった特例は、相続税額の計算上、大きな影響を及ぼします。
対象となる財産について、遺産分割協議が完了していないと適用できない特例
配偶者の税額軽減
小規模宅地等の減額
事業用財産の評価の特例
農地等の納税猶予
相続税額の取得費加算の特例
延納
物納 など
→(相続税法の主な特例)へ
※遺産分割協議は、最終的にすべての財産について行っていただきます。だからといって、同時にすべての遺産分割協議が整う必要はありません。相続税法上の特例を受けるために対象となる財産だけを先行して分割協議(一部分割協議)することも可能です。
たとえば、
小規模宅地等の減額を適用するため、ご自宅だけ先行して一部分割協議
農地等の納税猶予を適用するため、農地だけ先行して一部分割協議
相続税の納付期限までにご売却・決済するために、ご売却地だけ先行して一部分割協議 など
ただし、一度確定した分割協議をやり直すと、新たに相続人同士の贈与の問題が出てきます。そのため、一部分割協議を先行して行うためには、相続の全体像を把握していることが重要です。安易な一部分割協議は、「こんなはずではなかった・・・」と悔やむことになります。