税務調査の中で一番の時間を割かれるのが、預金・金融資産調査です。
むしろ、相続税の税務調査=預金・金融資産調査のみといっても良いかもしれません。
といっても、亡くなられた方の預金の残高調査ではありません。
これは、「申告されていて、当たり前」だからです。相続税の申告書には、金融機関の残高証明書も添付します。ですから、余程のことでもない限り、ご相続人の方と意見がわかれることがないからです。
税務署が興味を持つのは、ご健在中の資金の流れとご家族の預金です。
相続税の申告事績(平成19年12月 国税庁発表)
平成17年分 | 平成18年分 | 前年比 | |
被相続人の数 | 1,083,796人 | 1,084,450人 | 100.06% |
相続税の申告書を提出した被相続人の数 | 45,121人 | 45,150人 | 100.06% |
対象割合 | 4.16% | 4.16% |
相続税の調査事績
相続税の課税価格2億円超の相続税申告が、毎年14,000件(≒税務調査の件数)ほどです。つまり、課税価格2億円超の相続税申告は、かならず税務調査があるものとお考えください。
平成17年分 | 平成18年分 | 前年比 | |
税務調査の件数 | 14,218件 | 14,061件 | 98.89% |
申告漏れ件数 | 12,119件 | 12,061件 | 100.48% |
申告漏れ割合 | 85.23% | 85.77% | 100.63% |
1件あたりの申告漏れ課税価格 | 3,203万円 | 3,380万円 | 105.52% |
1件あたりの申告漏れ相続税額 | 713万円 | 779万円 | 109.25% |
重加算税対象割合 | 14.7% | 15.1% | 102.72% |
相続税の税務調査のポイント
(税務調査に基づく申告漏れ相続財産額の種類内訳)
不動産 | 現預金 | 有価証券 | その他 | 合計 | |
構成比 | 18.5% | 35.6% | 21.0% | 24.9% | 100.0% |
現預金と有価証券を合わせると56.6%にもなります。
この構成比は、金額をベースにしています。一つの不動産に漏れや修正があった場合には、どうしても数千万単位でカウントされる不動産に比べ、いかに現預金や有価証券が徹底して積み上げられているかがわかります。