相続される土地の中に1,000㎡(地域によっては500㎡)以上の土地(広大地)がある場合は、注意が必要です。
広大地補正 ※平成30年1月1日以降の相続・贈与から「地積規模の大きな宅地」の評価に改正となります。
平成16年に相続税を計算する上での土地評価の改正があり、広大地評価が大きく変わりました。それまで、開発図面を作成して、評価減をしていた方式から、土地の面積だけを計算要素とした一律の算式で減額割合を計算できることになりました。
一見、複雑な検討を必要としなくなり、面積だけで判定できるかのような誤解がありますが、そもそも広大地とは?という根本的な判断を必要とするため、実務の現場でも混乱を招いています。
減額割合=0.6−0.05×土地の面積(㎡)÷1,000㎡
たとえば、1,000㎡の土地にこの評価方法を採用すると
0.6−0.05×1,000㎡÷1,000㎡=0.55
つまり、本来の土地評価額の55%で評価することが可能です。
土地の面積が広いほど、この減額割合も大きくなり、有利です。(最大65%の減額割合です。)
土地の面積 | 広大地補正率 | 原則評価からの減額割合 |
500㎡ | 57.5% | △42.5% |
1,000㎡ | 55.0% | △45.0% |
2,000㎡ | 50.0% | △50.0% |
3,000㎡ | 45.0% | △55.0% |
4,000㎡ | 40.0% | △60.0% |
5,000㎡ | 35.0% | △65.0% |
5,000㎡超 | 35.0% | △65.0% |
この土地評価について、なぜ、注意が必要なのか?というと、この規定を正しく活用できる税理士や税務署職員が、まだまだ、少数だからです。
過去に拝見した他の税理士の事例では、
(誤解1)建物が建っている土地では、適用できない
(誤解2)田や畑などの農地では、適用できない
(誤解3)市街化調整区域の土地では、適用できない
(誤解4)幹線道路に面していたり、容積率の高い土地では、適用できない
(誤解5)逆に容積率が低ければ必ず適用できる
(誤解6)499㎡では、適用できない など
逆に広大地評価を認めないとする税務署側の主張にも首をかしげたくなる事例はたくさんあります。
算式一行の条文になってしまったために、計算は簡単に、判断は複雑・難解になってしまいました。