
延納
相続税は、相続の発生から10ヶ月以内に現金で一度に納付することが原則です。 ただし、相続財産は預金ばかりとは限らないため、「延納(分割払い)」することも可能です。
相続した預金や相続人自身の預金まで納税に充ててもなお、不足する場合に限って、延納や物納が認められます。
この判断は、「金銭納付を困難とする理由書」で審査されます。
金銭納付を困難とする理由書
今までは、それほど厳密に審査をせずに延納や物納が認められてきました。しかし、平成18年の改正からこの審査の基準が、厳しくなりました。
現金化できるものは現金化し、解約しても比較的負担の少ないもの(換価の容易な財産)は、解約してでも現金化を図って、その上で、納付が困難であれば、延納→物納の道が開かれることになりました。
換価の容易な財産
積立金・保険等の金融資産で容易に契約が解除でき、かつ、解約等による負担が少ないもの
(例)
○ その他の有価証券等出資証券、抵当証券、倉庫証券、貨物引換証、船荷証券、商品券
○ 預貯金以外の債権で確実な取立てが可能と認められるもの退職金、貸付金・未収金
○ ゴルフ会員権等の権利で取引市場が形成されているもの
○ 養老保険、財産形成貯蓄、生命保険などで解約等による負担が少ないもの
安易に「とりあえず、延納してゆっくり考えよう」は危険です。
また、実際に延納をする場合でも、利子税(利息)も含めて、現実に毎年納税していけるのか?をしっかりと検証する必要があります。
万が一、予定通りに納税できない場合には、他の相続人の方々にも「相続税の連帯納付義務」が生じます。
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