相続された財産の中に農地がある場合には、一定の要件を満たす場合には、相続税の納税を猶予される場合があります。決して、免除ではありません。
相続税の農地等の納税猶予
相続された農地を通常の土地評価のように路線価方式や倍率方式で評価せず、農業投資価格といった特別に低い価格で評価します。
この特別に低い価格と原則通りの評価額との差額に相当する相続税の納税が猶予されます。
中部圏の農業投資価格(平成20年分 10㌃=1,000㎡あたりの価格)
| 田 | 畑 |
愛知県 | 85万円 | 64万円 |
岐阜県 | 72万円 | 52万円 |
静岡県 | 85万円 | 64万円 |
三重県 | 72万円 | 52万円 |
次の(知っておきたい相続の特例5)相続税額の取得費加算の特例では、加算される相続税額は、納税猶予前の相続税額が基礎となります。
相続税の農地等の納税猶予のその後-免除-
猶予期間は、次のいずれか早い日までです。
1.農業相続人の死亡の日
2.相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日
3.(1)または(2)のいずれか早い日の前に、農業相続人が特例農地等の全部を農業後継者に一括贈与した場合には、その贈与の日
※平成4年1月1日以後に開始した相続の都市営農農地等(生産緑地指定を受けた農地等)の場合には、20年経過の免除規定は適用されません。
1.2.3のいずれかに該当した場合にはじめて、相続税が免除されます。
その一方で、相続税が免除されるまでに、農業を営まなくなったり、ご売却や転用といった事情がある場合には、納税猶予されていた相続税の全部または一部を利子税とともに納付する必要があります。
単に相続税の負担感だけで適用を選択することなく、生涯にわたって農業を続ける強い覚悟が必要です。
継続届出書の提出
この農地等の納税猶予の規定を継続して適用する場合には、相続税の申告後も3年ごとに「継続届出書」の提出が必要です。忘れずに提出してください。
平成17年4月1日以後の相続では、継続届出書の提出免除の規定(特例適用農地等の全部を担保に提供している場合)は、廃止されています。
農業委員会の発行する証明書も添付資料となります。
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